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シアン化銅めっき
シアン化銅めっきとは、
シアン化銅めっきは、シアン化銅(CuCN)とシアン化ナトリウム(NaCN)を主成分とするめっき浴を用いた銅めっきの一種です。主に鋼、亜鉛ダイカスト、アルミニウムなどの非銅系素材に対する密着性の高い下地めっきとして利用されます。
シアン化銅めっきの特徴
- 優れた密着性
鉄や亜鉛などの金属に対し、密着性の良い銅層を形成
下地めっきとして、後工程のニッケルめっきや銀めっきの密着性を向上 - 均一なめっき膜を形成
複雑な形状の部品でも均一に銅めっきが可能 - 広い電流密度範囲で安定
低電流密度でも均一なめっきができ、電流効率が比較的高い - めっき液の毒性に注意が必要
シアン化合物(CN⁻)を含むため、有毒であり、厳重な管理が必要
用途
鉄、亜鉛ダイカスト、アルミニウムの下地めっき
直接ニッケルめっきをすると密着不良を起こしやすいため、シアン化銅めっきで下地を作る
電気接点や電子部品の銅めっき
導電性と密着性を活かし、電気・電子部品の下地処理に利用
金属の補修や再生
既存の金属製品の修復や補強に利用
シアン化銅めっきの処理プロセス
- 前処理
油脂や酸化物を除去(脱脂・酸洗い) - シアン化銅めっき
低電流で初期めっきを行い、徐々に電流を上げる - 後処理(仕上げ)
水洗 → 中和 → 乾燥 → 必要に応じてニッケルや銀めっき
シアン化銅めっきの代替技術
環境負荷を低減するため、シアンを使用しないピロリン酸銅めっきや硫酸銅めっきが開発・ 普及しています。ただし、密着性の面でシアン化銅めっきを完全に置き換えるには工夫が必要です。