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亜鉛めっきと亜鉛ニッケルめっきの違いとは?
金属部品の防錆処理として広く使われている「亜鉛めっき」と「亜鉛ニッケルめっき」。名前は似ていますが、その性能・用途・コストには大きな違いがあります。
この記事では、それぞれのめっき処理の特徴や使い分けについて、わかりやすくご紹介します。
1. 亜鉛めっきとは?
「亜鉛めっき」は、鉄や鋼などの素材に亜鉛(Zn)を被覆する処理で、主に犠牲防食という原理で素材をサビから守ります。外部環境によって亜鉛が先に腐食することで、鉄素材の腐食を防ぐ仕組みです。
主な特徴
コストが低く、量産性に優れる
クロメート処理により見た目や耐食性の調整が可能
一般的な建材やネジ、金具などに多用される
耐食性
標準的な防錆性能を持ちますが、長期間の屋外使用や過酷な環境には不向きです。
2. 亜鉛ニッケルめっきとは?
「亜鉛ニッケルめっき」は、亜鉛にニッケル(Ni)を12〜15%(高ニッケル)又は5~7%(低ニッケル)程度加えた合金めっきです。ニッケルの添加により、通常の亜鉛めっきに比べて格段に高い耐食性能を実現します。
主な特徴
白錆・赤錆の発生を大幅に遅らせる
高温や過酷な環境でも安定した性能
自動車部品や工業製品など、耐久性が重視される場面で使用
耐食性
塩水噴霧試験では、通常の亜鉛めっきの数倍以上の耐食寿命を示すことが多く、特に長期間の使用が想定される部品に最適です。
3. 比較一覧表
項目 亜鉛めっき 亜鉛ニッケルめっき
成分 亜鉛100% 亜鉛+ニッケル(約12~15%又は5~7%)
耐食性 標準(白錆や赤錆が早期に発生) 非常に高い(長期間防錆)
耐熱性 標準 高温環境でも安定
コスト 低コスト 高コスト(性能に見合う価値)
主な用途 ネジ、建材、家庭用部品など 自動車部品、精密機器など
4. どちらを選ぶべき?
コスト重視・短期間の使用部品 → 亜鉛めっき
耐久性重視・厳しい環境での使用 → 亜鉛ニッケルめっき
目的や使用環境によって最適なめっき処理を選ぶことが、製品の信頼性と寿命を左右します。
5. 当社の対応 当社では、お客様の製品用途やコスト要件に応じて、最適なめっき処理をご提案しております。小ロット対応や品質試験データの提供も可能ですので、お気軽にご相談ください。