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金属の着色被膜に使われる酸化物とその色
金属の表面に形成される酸化被膜は、光の干渉や化学的特性によってさまざまな色を呈します。特に装飾や耐食性の向上を目的とした処理では、酸化物の特性を活かした着色技術が広く利用されています。
代表的な酸化物とその色
1. 鉄(Fe)の酸化被膜
鉄は酸化の進行度によって色が変わります。黒染処理では「四三酸化鉄(Fe₃O₄)」の黒色 皮膜を利用し、赤さび(Fe₂O₃)は赤褐色を呈します。
2.アルミニウム(Al)の酸化被膜
アルミニウムの酸化皮膜(Al₂O₃)は本来透明ですが、陽極酸化処理(アルマイト)を施すことで、黒、青、赤、金色などの多彩な着色が可能になります。
3.チタン(Ti)の酸化被膜
チタンの酸化被膜は膜厚によって干渉色が変わり、青・紫・金・緑などの色を発現します。これはチタンの陽極酸化処理として医療機器や装飾用途に活用されています。
4.銅(Cu)の酸化被膜
銅の酸化物には、赤色~橙色の「酸化第一銅(Cu₂O)」と、黒色の「酸化第二銅(CuO)」があります。また、屋根の銅板に見られる緑青(青緑色)は、酸化銅と炭酸塩が結びついたものです。
5.ニッケル(Ni)の酸化被膜
ニッケルの酸化物は、緑色の「酸化ニッケル(NiO)」と黒色の「酸化ニッケル(Ni₂O₃)」があり、電池材料やセラミックス分野で利用されています。
6.クロム(Cr)の酸化被膜
三酸化クロム(Cr₂O₃)は緑色を呈し、クロム酸処理では黄~茶色の皮膜が形成されます。 これはステンレスの耐食性向上に利用されることが多いです。